菜の花畠に 入日薄れ、「日本唱歌集(岩波文庫/1958年)」では「文部省唱歌」としか記されていませんが、「日本童謡唱歌全集(ドレミ楽譜出版/1984年)」では 作曲 岡野貞一、作詞 高野辰之と、人名が明記されています。かつては「文部省」の名のもとに個人の著作権は無視され、だれが作ったのか分からない状態でしたが、近年になって研究が進み、作者の特定ができるようになったのでせう。
見わたす山の端 霞ふかし。
春風そよふく 空を見れば、
夕月かかりて におい淡し。里わの火影も、森の色も、
田中の小路を たどる人も、
蛙のなくねも、かねの音も、
さながら霞める 朧月夜。
岡野、高野両氏は、東京音楽学校(現在の芸大)の教授だったそうで、このコンビは「春が来た」「春の小川」「故郷」「紅葉」など、数々の名作を残しています。