品川弥二郎、大村益次郎ともに、明治維新で活躍した長州人で、靖国神社に銅像が建てられています。大村益次郎は羽織袴ですが、品川弥二郎は洋服姿です。
「宮さん」というのは有栖川宮親王のことで、東征軍の大総督であられられまして、要するに幕府の残党を東へ東へと追いつめていったわけですね。この東征軍の士気を高めるために作られたのが「宮さん宮さん」で、日本で最初の軍歌だとも言われております。私の持っている「軍歌集」でも、最初のページに掲載されております。
作曲 大村益次郎 と伝えられ、JARACの作品データベースでもそのように登録されていますが、京都の芸者が、品川の詞に、当時はやっていた「トンヤレ節」をもとに曲づけしたものを、大村が鼓笛曲として編曲したのだという説もあります。
宮さん宮さん お馬の前にこの演奏では間奏をはさんで4コーラス演奏していますが、歌詞は上記の中から3つと、明治6年ごろに作られた、当時のモダンガールを揶揄したと思われる替歌を加えました。もちろん最後の詞は品川作品ではありません。
ひらひらするのは何じゃいな
トコトンヤレトンヤレナ
あれは朝敵征伐せよとの
錦の御旗じゃ知らないか
トコトンヤレトンヤレナ一天万乗の帝王に 手向かいする奴を
トコトンヤレトンヤレナ
ねらい外さず どんどん撃ち出す薩長土
トコトンヤレトンヤレナ伏見 鳥羽 淀 橋本 葛葉の戦いは
トコトンヤレトンヤレナ
薩土長肥の 合うたる手際じゃないかいな
トコトンヤレトンヤレナ音に聞こえし関東武士
どっちへ逃げたと 問うたれば
トコトンヤレトンヤレナ
城も気概も捨てて 吾妻へ逃げたげな
トコトンヤレトンヤレナ国を追うのも 人を殺すも
誰も本意じゃないけれど
トコトンヤレトンヤレナ
薩長士の先手に 手向いする故に
トコトンヤレトンヤレナ雨の降るよな 鉄砲の玉の来る中に
トコトンヤレトンヤレナ
命惜しまず魁するのも 皆お主の為故じゃ
トコトンヤレトンヤレナ
姉さん 姉さん お前の頭にんでもって、薩長土肥の官軍が勝利しちゃったために、江戸は田舎者だらけになりました。今だに。
ぐるぐる巻いたは 何じゃいな
トコトンヤレ トンヤレナ
あれは流行 はしりの束髪
イギリス結びを知らないか
トコトンヤレ トンヤレナ